電子公告の期間の数え方|起算日・満了日の正確な計算方法

竹中

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竹中行政書士事務所

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こんにちは、行政書士の竹中です。

「公告の1ヶ月って、いつから数えるの?」「初日は含める?含めない?」 期間の数え方は、実務担当者の方から最も多く質問をいただく項目の一つです。 この記事では、電子公告の期間計算について、法的根拠から具体例まで、丁寧に解説していきます。

【3秒でわかる】期間の数え方の基本ルール

まず結論から申し上げます。電子公告の期間計算は、民法に従って行います。

項目ルール
起算日0:00開始 → 当日から数える(初日算入)
0:00以外 → 翌日から数える(初日不算入)
「1ヶ月」の数え方起算日の応当日の前日に満了
例:3/2起算 → 4/1満了
満了日満了日の24時(翌日0時)まで掲載必要
土日祝の扱いそのまま満了(翌営業日に延長されない)

実務では、公告開始を0:00に設定することで、起算日を明確にし、計算ミスを防ぐことができます。

1. 起算日の数え方|初日算入・初日不算入とは

1-1. 民法第140条の「初日不算入の原則」

期間計算の基本は、民法第140条に定められている「初日不算入の原則」です。

民法第140条(期間の起算点)
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

この条文を簡単に言うと、次のようになります。

  • 原則:初日は数えない(初日不算入)
  • 例外:0:00から始まる場合は初日を数える(初日算入)

1-2. 具体例で理解する「初日算入・不算入」

ケース1:2025年3月1日 0:00に公告開始

開始時刻:2025年3月1日 0:00(午前0時)

起算日:3月1日(0:00開始なので初日算入)

1ヶ月後の満了日:3月31日

効力発生可能日:4月1日以降

ケース2:2025年3月1日 10:00に公告開始

開始時刻:2025年3月1日 10:00(午前10時)

起算日:3月2日(0:00以外なので初日不算入)

1ヶ月後の満了日:4月1日

効力発生可能日:4月2日以降

ケース3:2025年3月1日 23:50に公告開始

開始時刻:2025年3月1日 23:50(午後11時50分)

起算日:3月2日(0:00以外なので初日不算入)

1ヶ月後の満了日:4月1日

⚠️ 10分しか掲載していなくても、起算日は翌日になります

1-3. 実務での推奨:必ず0:00に公告開始

上記の例からわかるように、23:50に開始しても翌日起算となり、実質的に1日分の掲載期間を損してしまいます。

そのため、実務では以下の理由から必ず0:00に公告を開始することを強く推奨します。

0:00開始を推奨する理由

  • 起算日が当日になり、期間計算がシンプル
  • 「初日算入」が適用されるため、1日分の期間を無駄にしない
  • 法務局や調査機関への説明が明確になる
  • 登記申請書類への記載も分かりやすい

電子公告ネットでは、公告の予約公開機能を使って、指定した日の0:00ちょうどに自動で公告を開始できます。手動での操作ミスを防ぎ、正確な期間計算を実現できます。

2. 「1ヶ月」の正確な数え方と具体例

2-1. 民法第143条「応当日の前日」ルール

「1ヶ月」という期間の数え方は、少し複雑です。民法第143条に従います。

民法第143条(期間の満了)
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、 最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

簡単に言うと、「起算日の応当日の前日」に満了するということです。

2-2. 具体例:通常の月(30日・31日がある月)

例1:3月2日起算の場合

起算日:3月2日

応当日:4月2日(翌月の同じ日)

満了日:4月1日(応当日の前日)

効力発生可能日:4月2日以降

例2:3月15日起算の場合

起算日:3月15日

応当日:4月15日

満了日:4月14日(応当日の前日)

効力発生可能日:4月15日以降

2-3. 月末起算の特殊ケース(応当日が存在しない場合)

月末に起算日がある場合、翌月に同じ日が存在しないケースがあります。 この場合、その月の末日が満了日になります。

例3:1月31日起算の場合(2月は28日または29日まで)

起算日:1月31日

応当日:2月31日 → 存在しない

満了日:2月28日(平年)または2月29日(うるう年)

効力発生可能日:3月1日以降

例4:3月31日起算の場合(4月は30日まで)

起算日:3月31日

応当日:4月31日 → 存在しない

満了日:4月30日

効力発生可能日:5月1日以降

2-4. 実務での注意点

月末起算のケースでは、応当日が存在しない場合に満了日が通常より早くなります。 登記申請など後続の手続きのスケジュールに影響するため、注意が必要です。

月末起算を避ける工夫

可能であれば、月末(28日〜31日)を起算日にすることを避け、 月初〜中旬(1日〜20日頃)に公告を開始すると、期間計算がシンプルになります。 特に1月31日、3月31日、5月31日、8月31日、10月31日、12月31日を起算日にする場合は、 翌月の応当日が存在しないため、注意が必要です。

3. 満了日の考え方と時刻の扱い

3-1. 満了日は「24時」まで掲載が必要

期間の満了日は、その日の終わり(24時=翌日0時)まで掲載が必要です。

具体例

満了日:4月1日

掲載終了可能時刻:4月1日 24:00(= 4月2日 0:00)以降

⚠️ 4月1日の23:59に削除してしまうと、期間不足になる可能性があります

実務では、満了日の翌日0:00以降に削除するか、登記完了まで掲載を続けることをおすすめします。

3-2. タイムゾーン(JST/UTC)の注意点

電子公告システムによっては、サーバーの時刻がUTC(協定世界時)で記録される場合があります。 日本標準時(JST)はUTC+9時間なので、時刻のズレに注意が必要です。

タイムゾーンの違いによる影響例

JST(日本時間):2025年4月1日 0:00

UTC(協定世界時):2025年3月31日 15:00

⚠️ サーバーログがUTCで記録されている場合、9時間のズレが生じます

電子公告ネットでは、すべての時刻を日本標準時(JST)で管理していますので、タイムゾーンのズレを心配する必要はありません。 また、掲載証明書にも日本時間で正確な時刻が記載されます。

4. 土日祝・年末年始が満了日の場合

4-1. 原則:満了日は翌営業日に延長されない

民法の期間計算では、満了日が土日祝日でも延長されません。 そのまま期間は満了します。

満了日が日曜日の場合の例

起算日:3月2日(日曜日)

満了日:4月1日(日曜日)

効力発生可能日:4月2日(月曜日)以降

✓ 満了日が日曜日でも、翌月曜日に延長されません

4-2. 実務上の注意点:後続手続きとの関係

公告期間の満了自体は土日祝日でも問題ありませんが、次の手続き(登記申請など)が平日のみ受付の場合があります。

法務局の営業日を考慮した例

公告期間満了:4月1日(日曜日)24:00

効力発生可能日:4月2日(月曜日)0:00以降

登記申請可能日:4月2日(月曜日)以降(法務局の営業日)

✓ 満了日が日曜日でも法的には問題ないが、登記は翌営業日以降になる

4-3. 年末年始・ゴールデンウィークなど長期休暇の注意点

年末年始(12月29日〜1月3日)やゴールデンウィークなど、 連休が続く時期に満了日が重なる場合は、特に注意が必要です。

年末年始に満了する場合の例

公告期間満了:12月31日(月曜日)24:00

効力発生可能日:1月1日(火曜日)0:00以降

法務局の営業開始:1月4日(金曜日)

⚠️ 効力は1月1日に発生するが、登記申請は1月4日以降になる

実務では、連休明けの営業日を考慮して余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。

5. よくある計算ミスと対策

実務でよくある期間計算のミスをまとめました。これらを知っておくことで、 トラブルを未然に防ぐことができます。

ミス1:「1ヶ月 = 30日」と誤解

✗ 誤り
1ヶ月を30日と計算し、3月2日起算なら4月2日(31日後)に満了と考える。

✓ 正解
1ヶ月は暦月で計算します。3月2日起算なら、4月1日(応当日の前日)に満了します。 「30日」や「31日」ではなく、「応当日の前日」というルールを覚えましょう。

ミス2:満了日を含めずに削除

✗ 誤り
4月1日が満了日なのに、4月1日の朝に公告を削除してしまう。

✓ 正解
満了日はその日の終わり(24時)まで掲載が必要です。4月1日が満了日なら、4月2日の0:00以降に削除できます。 実務では、安全のため登記完了まで掲載を続けることをおすすめします。

ミス3:時刻を考慮せず起算日を誤る

✗ 誤り
3月1日23:50に公告開始したので、起算日は3月1日と考える。

✓ 正解
0:00以外の時刻に開始した場合は、初日不算入で翌日が起算日になります。23:50開始でも、起算日は3月2日です。 このようなミスを防ぐため、必ず0:00に公告を開始しましょう。

ミス4:決算公告と債権者保護公告の期間を混同

✗ 誤り
合併公告も決算公告と同じように5年間掲載が必要と考える。

✓ 正解
決算公告は5年間継続掲載が必要ですが、合併公告・資本金減少公告などの債権者保護公告は1ヶ月以上です。公告の種類によって必要期間が異なることをしっかり理解しましょう。

ミス5:応当日が存在しない月のケースを見落とす

✗ 誤り
1月31日起算で、2月31日(応当日)が満了日と考える。

✓ 正解
2月31日は存在しないため、その月の末日(2月28日または29日)が満了日になります。月末起算のケースでは、このような特殊ルールを忘れずに。

これらのミスは、登記の不受理や法的手続きの遅延につながる可能性があります。 不安な場合は、司法書士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

6. 証跡・タイムスタンプの記録方法

6-1. なぜ証跡が重要か

電子公告は、法定期間を確実に掲載したことを後から証明できる状態で保管する必要があります。

証跡が必要な理由

  • 登記申請時に、法務局から掲載証明を求められることがある
  • 債権者や株主から、公告期間の妥当性を問われる可能性がある
  • 万が一の訴訟や監査で、適切な公告手続きを行ったことを証明する必要がある
  • 調査機関による事後確認の際に、正確な記録が求められる

6-2. 記録すべき情報

最低限、以下の情報を記録・保管しておく必要があります。

項目記録内容
掲載開始日時年月日・時分秒・タイムゾーン(JST)
掲載終了日時削除した場合の年月日・時分秒
公告URL実際に掲載したURL(変更不可能な形で記録)
公告内容掲載した文書・PDFのコピー
操作履歴誰が・いつ・何を操作したかの記録

6-3. 電子公告ネットの証跡管理機能

電子公告ネットでは、法的に必要な証跡を自動で記録・保管しています。

自動記録される情報

  • 掲載開始日時:予約公開した場合も、実際に公開された時刻を正確に記録
  • 掲載終了日時:削除した場合の正確な時刻を記録
  • タイムスタンプ:第三者機関による時刻認証で改ざん防止
  • 操作ログ:管理画面での全ての操作を記録(誰が・いつ・何を)
  • 掲載証明書:登記申請に使える正式な証明書をワンクリックで発行

自社でホームページを運営して公告を掲載する場合、 これらの証跡管理を自力で行う必要がありますが、 専門サービスを利用することで、手間なく確実な記録を残すことができます。

まとめ

電子公告の期間の数え方について、詳しくお話ししてきました。 最後に、大切なポイントをもう一度まとめておきますね。

  • 必ず0:00に公告を開始して、初日算入で計算をシンプルに
  • 「1ヶ月」は暦月計算で、応当日の前日に満了する
  • ✓ 満了日はその日の24時まで掲載が必要
  • ✓ 土日祝日でも満了日は延長されない
  • ✓ 月末起算のケースでは、応当日が存在しない場合の特殊ルールに注意
  • 掲載開始・終了の日時を証拠として記録・保管する

期間計算は、一見複雑に見えますが、ルールを理解すれば決して難しくありません。 特に「0:00開始」「応当日の前日満了」という2つのポイントを押さえておけば、 ほとんどのケースで正確に計算できます。

電子公告ネットなら、予約公開機能で0:00ちょうどに公告を開始でき、 操作履歴やタイムスタンプも自動で記録されます。 期間計算の不安から解放されて、本業に集中できる環境を提供します。

この記事が、皆さまの電子公告の期間計算に関する疑問解消の一助となれば幸いです。

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本記事の情報は、執筆時点における一般的な情報提供を目的としており、法的助言を構成するものではありません。 電子公告の実施や期間計算など、具体的な法的手続きについては、弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。 また、法令の改正等により情報が変更される場合がありますので、最新の情報は法務局等の公式サイトでご確認ください。