会社法上の公告義務と要件
電子公告ネットは、会社法第939条に基づき、株式会社に課せられる公告義務を適法に履行するためのサービスです。
このページでは、会社法が定める公告義務の詳細、公告の種類、公告方法の法的要件を包括的に解説します。
公告義務の法的根拠
会社法第939条(公告方法)
第1項:株式会社の公告方法は、次に掲げる方法のうち、定款で定めたものとする。
- 官報に掲載する方法
- 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
- 電子公告(会社法第2条第34号に規定する電子公告をいう)
出典:e-Gov 会社法
電子公告ネットは、会社法第939条第1項第3号に基づく「電子公告」の方法で公告を行うサービスです。電子公告は、官報や新聞と同等の法的効力を持ち、適法な公告方法として認められています。
公告方法は定款で定める必要があり、電子公告を採用する場合は定款変更の株主総会決議が必要です。電子公告ネットでは、定款変更のひな型もご提供しています。
主要な公告義務
電子公告ネットは、会社法が株式会社に義務付ける公告を3つの主要類型に分類して解説します。
決算公告(必須)
会社法第440条 - すべての株式会社に義務
法的要件
電子公告ネットは、会社法第440条に基づき、定時株主総会終結後「遅滞なく」貸借対照表(大会社は損益計算書も含む)を公告する義務を果たすサービスです。
罰則:公告義務違反は会社法第976条により「100万円以下の過料」に処せられます。
組織再編公告
合併・分割・事業譲渡などに必要
対象となる組織再編行為
電子公告ネットは、以下の組織再編行為において債権者保護手続きの一環として公告が必要になります。
合併(会社法第789条・第799条)
吸収合併または新設合併を行う場合、合併契約の内容を公告し、債権者に異議申述の機会を付与する必要があります。公告期間は1ヶ月以上。
会社分割(会社法第789条・第799条)
吸収分割または新設分割を行う場合、分割契約の内容を公告します。債権者保護手続きとして1ヶ月以上の公告期間が必要です。
事業譲渡(会社法第469条)
重要な事業の一部または全部を譲渡する場合、株主および債権者への通知・公告が必要になる場合があります。
株式交換・株式移転(会社法第789条・第810条)
完全親子会社関係を創設する場合、株式交換契約・株式移転計画の内容を公告し、債権者保護手続きを行います。
電子公告ネットのメリット:官報公告の場合、公告掲載まで2週間程度かかりますが、電子公告ネットなら即日公告開始が可能です。組織再編のスケジュールを柔軟に管理できます。
募集事項公告
新株発行・社債発行などに必要
対象となる募集行為
募集株式の発行(会社法第201条)
新株を発行する場合、募集事項(発行株式数、払込金額、払込期日など)を公告する必要があります。
- 公募増資の場合は必須
- 第三者割当の場合は一定の要件で必要
- 株主割当の場合は株主への個別通知で代替可能な場合あり
社債の募集(会社法第676条)
社債を発行する場合、社債の総額、利率、償還方法などの募集事項を公告します。
- 一般募集の場合は公告が必要
- 私募債の場合は個別通知で可
新株予約権の発行(会社法第238条)
新株予約権を発行する場合、募集事項を公告する必要がある場合があります。特に上場会社では開示規制との関係で重要です。
公告方法の法的要件
電子公告ネットは、会社法が定める3つの公告方法それぞれの法的要件を解説します。
| 公告方法 | 法的要件 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 官報公告 |
| 定款変更不要(デフォルト) |
| 新聞公告 |
| 定款変更必要(新聞名を記載) |
| 電子公告 (電子公告ネット) |
| 推奨 定款変更必要(URLを記載) |
電子公告の技術的要件
電子公告ネットは、会社法施行規則第222条に基づく以下の技術的要件をすべて満たしています。
- ✓不特定多数の者がアクセス可能:インターネット経由で誰でも閲覧可能
- ✓内容の改ざん防止:SSL/TLS暗号化、改ざん検知機能
- ✓継続公開の担保:決算公告は5年間、その他の公告は法定期間確実に公開
- ✓公告日時の記録:公告開始日時・終了日時をシステムで自動記録
公告義務違反のリスク
電子公告ネットは、公告義務違反による法的リスクを解説し、適法な公告実施をサポートします。
⚠️刑事罰
決算公告義務違反は「100万円以下の過料」に処せられます。過料は行政罰であり、刑罰ではありませんが、裁判所の決定により強制的に徴収されます。
代表取締役個人が過料の対象となります(法人ではなく個人責任)。
⚖️民事責任
債権者保護手続きの公告を怠った場合、債権者に生じた損害について賠償責任を負う可能性があります。
適法な公告を行わずに組織再編を実施した場合、その効力が否定されるリスクがあります。
🏢信用リスク
公告義務違反は「法令順守意識の低い会社」と見なされ、取引先からの信用を失う可能性があります。
融資審査において、公告義務の履行状況は重要な評価項目です。違反があると融資条件が不利になる場合があります。
📋監査リスク
監査法人による会計監査において、公告義務違反は必ず指摘事項となります。
IPO準備中の企業にとって、公告義務違反の履歴は上場審査で大きなマイナス要因となります。
電子公告ネットで確実な義務履行を
電子公告ネットは、公告期限の自動リマインダー、公告内容の法令チェック、公告履歴の完全記録など、公告義務を確実に履行するための機能を提供します。法的リスクを回避し、コンプライアンス体制を強化できます。
無料アカウント登録電子公告採用のための定款変更
電子公告ネットを利用するには、定款で公告方法を「電子公告」に変更する必要があります。
定款変更の手順
株主総会の招集
定款変更は株主総会の特別決議事項です。議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の2/3以上の賛成が必要です。
株主総会決議
以下の定款変更案を決議します:
(変更前)
第○条 当会社の公告方法は、官報に掲載する方法とする。
(変更後)
第○条 当会社の公告方法は、電子公告とする。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、官報に掲載する方法とする。
当会社の公告掲載URLは、次のとおりとする。
/announcements/【会社専用スラッグ】
登記申請
定款変更決議後、2週間以内に法務局へ変更登記を申請します。登記申請には株主総会議事録、定款(変更後)を添付します。登録免許税は3万円です。
電子公告開始
登記完了後、電子公告ネットで公告を開始できます。登記簿謄本に記載された公告方法が「電子公告」に変更されていることを確認してください。
電子公告ネットのサポート
電子公告ネットでは、定款変更のひな型、株主総会招集通知のサンプル、登記申請書のテンプレートを無料で提供しています。お客様の手続きをスムーズにサポートいたします。